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本川良です。生活綴方教育に刺激を受け、その後『学び合い』の考え方に出会いました。 「「教室・学校と地域コミュニティ」について考える日々です。「お互いが尊重し合う関係の中でこそ,人はそれぞれの強みを発揮できる。」と考え、まずは足下から緩やかにチャレンジします。ホワイトボード・ミーティング®認定講師、日本イエナプラン教育専門教員資格認定。現在は福島県磐梯町教育委員会教育再デザインセンターに所属しています。

好きだ、という感覚

 「神楽の話になると、3日でも話せるけどな。」

と、お店のご主人は笑って言う。

 

 食事をしようと思って立ち寄った、雄勝でのお気に入りのお店。ちょうどお昼時分を過ぎた辺りだったので、お客さんは私一人となっていた。

 

 今年の雄勝のお祭りのことを話していたら、神楽の話に。

雄勝のお祭りと神楽は切っても切れないから。

 お店のご主人は神楽師。詳しくそのお話を聞けるチャンスでもあったので、そのまま神楽にまつわるいろんなことをお聞きしたのであった。

無形文化財だから、形があって形がないもの。口伝で伝えられてきたんだよね。長い間。順番にあった『やり方』でやるのはある意味できるだけど、深みを出していくのは自分自身なんだよね。」

 

「この部分はあいつには負けない、とか、あの部分はあいつにはかなわない、とか。そういうのがある。」

「うまいとか、下手とか、そういうのでもない。」

 

「長い年月間に、人から人へ、世代を超えて伝え続けてきたその継承の歴史そのものに『重要無形文化財』としての価値が与えられたってこと。」

 

 人から人に伝えられながら、それも口伝で。

 笛も「楽譜」としてはないそうだ。

「楽譜にしてしまうと、それ以上にならないからな。」

という。

 

 (敢えての口伝なんだな…)

と思った。

 

 口伝でしか伝えられないもの、マニュアルや「やりかた説明書」では足りないもの。

 

 「文化」ってそういうものなんだな。

 

 情報が過多になって、余計伝わりづらくなっているものがある、ってことがきっとあるんだろう、と思う。

 

 「俺は一生神楽に関わっていきたいんだよね。子どもの時には、俺以上に「ばか」が12個くらいつく「神楽ばか」いたんだぞ。」

と。

 「好き」という感覚を大事にしてきたこと、それが「大切にしたい」という思いになり、それに反応するアンテナをもった人が感化され、文化の継承が起こる…。

 

 「好き」は大事だ。

 

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