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本川良です。生活綴方教育に刺激を受け、その後『学び合い』の考え方に出会いました。 「「教室・学校と地域コミュニティ」について考える日々です。「お互いが尊重し合う関係の中でこそ,人はそれぞれの強みを発揮できる。」と考え、まずは足下から緩やかにチャレンジします。ホワイトボード・ミーティング®認定講師、日本イエナプラン教育専門教員資格認定。現在は福島県磐梯町教育委員会教育再デザインセンターに所属しています。

続ける、つなぐのは「こと」じゃなくて「思い」なんだった

 

 「あすみの会」は、石巻地区を中心にした教員の自主的研究サークルです。毎月1回の例会を重ね、もう350回以上毎月欠かさず続けています。

          

 私も先代の事務局を引き継ぎ、その務めをさせていただいてもう何年になるか…というところ。20年近くにはなるかな、と思います。

      

 「あすみの会」を創設した、私が尊敬する初代の事務局の方々は、震災で本当に大きな被害、というかひどいことになってしまいました。
 かつてその事務局の方々が大事にされていた
「とにかく粘り強く続ける。」
という思いを受け取って、震災直後の4月の例会も、
「こんな中だからこそ、とにかく集まろう。」
と、まだ周囲が瓦礫だらけの小さな事務所の2階の小部屋に、ぎゅっと集まって、各校の状況や今後のことを話し合う例会を行ったのでした。

          

 だから、30年以上にわたって、1回も例会に穴を空けていません。それも1つの私たちの誇り。

        

 このコロナ禍。今月の例会の開催をどうするか、が課題でした。
「この状況下だからこそ、集まるか…」
「続けよ、という遺志を引き継ぎたい…」
そういう思いが私になかったわけではないのですが、今のこの状況下は「困難な状況」という点では震災時と同じですが、明らかに異なります。

       

 当時は、集まることにこそ意義はあった。でも今は…。

        

 会の理念は「目の前の子どもから学び続け、子ども、保護者、教職員、そして地域社会が幸せになる学校、学習環境づくり」。
 ここに照らし合わせてみれば、やはり「集まる」という選択肢はありません。

                                    

 幸い、私は別な団体の活動の中でZoomでのミーティングを何回か経験しています。ですから、今回は初めての「あすみの会 オンライン」の提案。もっともメンバーは、通常、このオンラインでのミーティングは(おそらく)みんな未経験。私自身も、参加はあっても自分でその場を設定したことも実はなく、ちょいとハードルが高め。

          

 それでも相談はしてみるもので、そういう系が得意な方が設定してくれて初めての「あすみの会オンライン」開催!いつもは顔を合わせて、あれこれ話すメンバーが、画面越しに話す、というちょっとした違和感?。それでも、
「なんか、これでもやれるね。」
「案外できるかも。」
という感覚を参加メンバーで共有できたことはとてもよかったと思います。

          

 「3つの密、なんてなかなか…」
「距離をとっても、手洗い場で密になってしまって…」
などこの状況下での難しさを聞いたり、すでに休校になっている地域の方からは
「いつ再開できるかまったく見通しがつかない…」
「一応、『再開の予定』、はあるものの、今の状況が延長、延長になる可能性も否定できないし…」
「もし学校で起こったら、と考えると…」
「思い切って子どもたち、クラスに関われないこの状態が気持ち的に参る…」
などの思い。

「つながりが切られていく、そんな怖さを感じる。」
とも。

 

 画面越しにでも顔を合わせ、お互いの頑張っている様子や困り感を共有できたこと、それがなんともよかったです。     

     

 震災時は、ともかく「つながる」という方向をみんなで共有できた気がするけれど、今回は「分断」の方向に流れが向かう可能性も否定できません。

「それでも、この状況のなかでも、どうやってつながっていくか、それを考えたいね。」
と参加メンバーで意見共有し、来月の例会までそれぞれがその課題を考えながらできることをしてみる、そして次の例会で意見交換をしよう、ということに。

    

       

 「あすみの会オンライン」。
初めての開催、チャレンジではあったけれど、やってみてよかったなあ。今後の可能性も広がりました。

      
 また、集まれなくても、つながる意志があればつながれることが分かりましたし。

        

 先代の事務局の方々の思いも、ちゃんとつなげられたんじゃないかと思います。それが嬉しい。

     
 「いつもと同じ」「あすみの会」を「続ける」ことが目的ではないってことだったんですね。続ける、つなぐのは「こと」じゃなくて「思い」なのでした。当たり前といえば当たり前ですが、そこに思いがいかないのが、非常時、ということでもありますね。

 あぶない、あぶない。立ち戻る場所はいつも、「そもそも」「理念」。

     

 それにあらためて気付くことができました。

 

 

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