学校の職員室前には、大きな海水水槽があります。(稲垣潤一 東北サポート基金)
雄勝湾の海の環境に近くなるように、中にはアマモやホヤ、アワビ、ホヤなんかがいます。(そこではけっこう激しい生存競争が行われていたりして、生きるってたいへん…ということを感じます)
あるとき、今までなかったものが、水槽の中に。それは、20~30センチくらいの石で、そこに緑色の海藻が付いて水の中でゆらゆらとしています。それから、細い茶色い紐状の長い海藻。30センチくらいの毛糸が水中をゆらゆらしている、そんな感じです。
(あれ?いつのまに??)
という感じ。
その日は、学校浜活動ミニ、というのがあって、子どもたちが学校校庭下の砂浜に降りて「雄勝の海との年度最初の出会い」をする時間がありました。
実は、その時、校長先生が浜に降りてきて磯にあったその石を拾ってきたようです。水槽に入っていたのは、実はそれ。
(でも、そんな海藻がついた石なんてあったかなあ…。あったのは、緑色の苔みたいな、ヌルヌルする滑りやすい石くらいだったんじゃないかな…)
と思っていて。
校長先生は
「ああ…、水の中に入れると、あんな感じなんだ。潮が引いていると海藻は石にへばりついてあんな感じに見えるけど、潮が満ちて海の中の環境になると、あんな姿を見せてくれるってことだよね。海の中での姿っていうのも知らないと想像もできないよね?」
「ホヤだってホタテだって、海からあげた姿と海中の姿って違うよね?」
「見せる姿は、いろいろなんだよ。」
今、見せている姿が全てではない。
見えていることもあり、まだ見えていないこともある。
「分かったつもりにならない。」
それはいつも校長先生から教わっていることであるけれど、まさにそういうことだなあ、と感じた出来事。
「苔みたいなものがへばりついて、滑りやすいただの石。歩きにくくて困る石」が
「ゆらゆらした海藻をはやし、水槽の中の生き物の餌になったり、魚の餌になる微生物も付けているタカラの石」になった、それが見えるようになった、そんな出来事。
まだまだ勉強が足りません…。
でも、だから、楽しい。