次の場所へ行こう

本川良です。生活綴方教育に刺激を受け、その後『学び合い』の考え方に出会いました。 「「教室・学校と地域コミュニティ」について考える日々です。「お互いが尊重し合う関係の中でこそ,人はそれぞれの強みを発揮できる。」と考え、まずは足下から緩やかにチャレンジします。ホワイトボード・ミーティング®認定講師、日本イエナプラン教育専門教員資格認定。現在は福島県磐梯町教育委員会教育再デザインセンターに所属しています。

■ムズカシイことはいいから、まあ、やってみよー、考えながら。

■ムズカシイことはいいから、まあ、やってみよー、考えながら。


 体育は「表現」。4~6年生の合同体育。極小規模だから、子どもは8人、担任陣3人。
ゆくゆくは、来月ある学芸会につながっていくように、と担任陣3人で相談しつつ子どもたちにもそれを伝えている。


 でも、いきなり、劇の練習、っていうのも「劇」目的になってしまうから、それじゃ面白くないよね、と。
 だから、最初のころは効果音集からいろいろな音や、短い音楽を流して、即興的に演じてみる、みたいな遊び。
 最初は、
「え?え?」
みたいだった子どもたちもいたけど、中には、すっと体を動かしてやれちゃう子もいるんだよねー笑。そして私たち担任陣も一緒に始めたりすると、だんだんやり出す子が出てくるんだなー。周りをキョロキョロ見ながら遠慮がちに体を動かす子もいるんだけど、それでOKOK!

「おおー、いいねー!」
「面白い!」
「ナイスアイデアー(^^)」
なんて、みんなで言っていると、だんだん(そう、だんだん、なんだよね)楽しくなってくる。楽しくなってくると、笑い声が出始めたり、動きも大きくなっていったり。

 そうこうしてくると、次のチャレンジだね。
「なんか、いい感じになってきたよねー。ほらほら、音がなったら体が瞬時に動くようになったじゃんかー(^^)、すばらしい!」
「じゃ、こんどはさー、次のレベルにチャレンジする?。中には何人かいたんだけど、ひとりじゃなくてふたりで組んで始めた人もいたでしょ?なんの打合せもなしに。できたら次はさ、2人とか3人とかで即興でやってみてよ~。もちろん、まだ1人で演じることを極めたい!って人は1人でもOKね~」

 そんな感じでやってみた。

 

 自分から他者に近付いていったり、呼吸を合わせたり、感じ合ったり、それを一瞬でやれる、やれた、そんな感じを味わって欲しかったから。言語は抜きでね。次々と音や音楽が変わるから、障がいのある子だって他の子の動きに自然と巻き込まれて一緒に楽しむ、そんなことになる。
 上手とか下手とか、そういうんじゃなくて、他者と一緒に感じ合って楽しむ、自分じゃないものになってみて楽しむ、そんな感覚を学芸会の「劇」の練習が始まる前にみんなで体験しておくことって大事じゃないかな?って感じたから。

「演じる、って自分じゃない自分、になってみるって子とじゃないかなー?」
「それを、面白がってみよー」

 もちろん、大人チーム!も参戦。担任陣3人で組んで、子どもたちと一緒に練習!笑。これけっこうオモロイ。(私はこういうの実は苦手なんですけどね笑)


 ストーリー性のある短い曲で、ミニミニ劇も発表。
「大人チームの本気を見せてやる!」
とかって。
 いやあ、笑ったなー。

 

 この、「私たちも一緒にやる、楽しむ」っていうのが実はミソだな…と思う。面白さがどこにあるかを感じたり、そもそも「上手下手」とかどーでもよくなる。
 自分が楽しむこと、他者と楽しむこと、工夫するなんてことは自然にやり始めること、工夫は簡単者にないこと…なんかが感覚的に分かってくる気がします。見ているだけでは分からないなー、と思う。
 だから、簡単に
「もっと工夫しなさい!」
「ちゃんと演じなさい!」「もっとこうして!」
なんて言わなくて(いや、言えないよねー笑)よくて、
「一緒に考えよー」
ってスタンスに立てる気がする。


 学習中も、学習後も、担任陣でおしゃべりしながら
「〇君、最初はこうだったけど、今はーですよねー!」
「うんうん、めっちゃ良かったよね。」
「〇さんは、今回自分で□さんに声かけて始めたよね。いろんな相手ともするようになったね。」
「なんでかな?たぶん…」
「あ、なるほどー。そうかも」
「あの時の〇君のよさって、次に活かせるよねー、例えば…」


 どんな子どもたち、そして大人に育ってほしいと願っているか(学校教育目標やそれぞれの子ども観、教育観)を、職員間で日常的におしゃべりし磨き合い、目の前の事実からまた学び直す。格好良く言えば「子どもから学ぶ」ができるといいんだと思っている。難しいことじゃなくて。

 だから、「校内研究」は、わざわざ「授業研究です」「事後検討会をします」なんてことをしなくても(する意義を否定はしないけど)、毎日の協同授業の中でできるし、その方がいいと私は思っている。特にこういうへき地の小さい学校ではそれがやりやすい。だって目の前に子どもがいて、私たち全てが当事者で自分ごと、だもの。
 みんなで仕事を楽しめばいい、子どもたちと楽しく学び合う毎日、それが「校内研究」じゃないか、とさえ思う。現場なんだから、泥臭い実践の積み重ねでいい。

 

 「子どもの学び、成長ってなんだろうね?」
「その子にとっての今日の、この時間の学びはどこにあったかな?」


 そんな問いを持ちながら、学校職員みんなで、子どもたちが育つ環境を試行錯誤して整えていけばいいんだと思うな。

 そこに、そういう学校になれば、地域の方々も「自然に」支援してくれる。

 

 

f:id:motoryou:20210830174533j:plain