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本川良です。生活綴方教育に刺激を受け、その後『学び合い』の考え方に出会いました。 「「教室・学校と地域コミュニティ」について考える日々です。「お互いが尊重し合う関係の中でこそ,人はそれぞれの強みを発揮できる。」と考え、まずは足下から緩やかにチャレンジします。ホワイトボード・ミーティング®認定講師、日本イエナプラン教育専門教員資格認定。現在は福島県磐梯町教育委員会教育再デザインセンターに所属しています。

■取れない「バランス」を取ろうとする、ことに意味があるな

■取れない「バランス」を取ろうとする、ことに意味があるな

 この間、体育でずっと盛り上がっていたのは「スポ鬼」
http://amica.juno.weblife.me/sportsonigokko.website/sportsonigokko.html

 子どもたちは、これにとってもはまって楽しんでいました。

 全校で20人にも満たない小さな学校だから、体育も全校で行います。1年生から6年生まで、だから「一人一人がちがう」(いろいろな面で)のは、もうすでに前提条件です。

 スポ鬼。2チームに分かれて行うので「勝ち・負け」が出ます。その中で

①みんなで楽しむにはどうするか?(ルール、チーム)
②このメンバーで勝つにはどうしたらいいか?

 こんなことを学習のテーマにしてやってきました。

 基本的なルールから始まって、上記の課題に照らし合わせながらルールの改善や適用範囲などを徐々に変えていったり。もちろん賛否あるルール改正要求もあるのですが、
「じゃあ、お試しでやってみようか?」
ってことを提案しながら試行錯誤。

 私としては、ゲームをしてみてからの振り返りと彼らの意見、そこからの「お試し」、また振り返る…そんなサイクルを大切にしていきたかったから。
 チーム決めも、初期のころは大まかに学年を分けながらのくじ引きだったけれど、それだけだとだんだん
「えーー、このチームだとー」
なんて声も出てきたから、自分たちで決める方向に変わっていった。そのときも「みんなで楽しむためには?」が条件になっているわけで。(まあ、子どもたちのことだから、時には自分が勝てそうなチームになれば喜ぶしそうじゃないと不満をいうこともある…それもまたよし(^^))
 1年生から6年生までがネームカードをホワイトボードに貼りながら、
「こうだとどうかな?」
「これだと?」
なんて相談している姿を見ているのはなかなかおもしろい。

「おれ、どのチームでもいいから~笑」
なんて子もいたりもするし。

 回を重ねていくと、作戦にも工夫が見られるようになり。足が速い子がいるから勝てる訳でもない。
 「ちょっと!作戦タイム!」
なんて声を掛ける上級生がいて、こそこそと相談しながらニヤニヤして攻めの準備に入る姿もまたおもしろい。


 相手に得点を連取されたときに、メンバーがどんな声をお互いに掛けていくか、それによってゲームの楽しみ方が大きく変わってくることも味わえる。勝ったら楽しい、負けたらつまらない、そんな単純なことだけではないこともなんとなく味わってもらえたかな?とも思う。

 「キャプテンシー」は、誰でも発揮できること。
 発揮できた瞬間を可視化、可聴化する。そして振り返る、共有する。


 ルールも変わる、変えられる。チームもそう。バランスが取れないものをみんなが楽しむために取り合おうとする。その過程には笑顔もあり対立もあり。そういうもの。

 でも、バランスを取り合うことを諦めない、それが「楽しい」に向けたプロセス。泣いたり文句を言ったりする子もいるかもしれないけれど、無視しない。コミュニケーションをとり続けることを諦めない。

 なんだ、子どもたちから学ぶこと、多いなーって思った。

 自分で決める、自分たちで決める、その経験を積み重ねる。

 自分の「~たい」と他者の「~たい」をすり合わせながら、ある程度のスパンで「お試し」していく。そもそもピタッとバランスが取れないものをなんとか走りながら取り合う経験だったかも。


 体育、おもしろいなー。


 スポ鬼、おすすめです。