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本川良です。生活綴方教育に刺激を受け、その後『学び合い』の考え方に出会いました。 「「教室・学校と地域コミュニティ」について考える日々です。「お互いが尊重し合う関係の中でこそ,人はそれぞれの強みを発揮できる。」と考え、まずは足下から緩やかにチャレンジします。ホワイトボード・ミーティング®認定講師、日本イエナプラン教育専門教員資格認定。現在は福島県磐梯町教育委員会教育再デザインセンターに所属しています。

「ほってぇ皿」について考える

「ほってぇ皿」について考える。

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 ここ数年、総合的な学習の時間で取り組んでいる「ほってぇ皿」制作。
震災後、サポートに入ってくださった「子ども芸術の村」と学校との協働の活動。
2016年がスタート。今は4年目になります。

http://av4c.jp/#secAbout
https://www.youtube.com/watch?v=m8LQIuGBSNU

 「ほってぇ皿」は、雄勝石の粉を混ぜた粘土と釉薬をつかった、「ほたて型」のお皿です。
もともとは
雄勝にたくさんの人が来て欲しい」
雄勝をもっとたくさんの方々に知ってほしい」
「まちにあるもので何かつくれないかな?」
というところからスタートしたと聞いています。

 試行錯誤しての今。初期型のほってぇ皿と今のものとは、やっぱり違います。


 もうちょっと説明すると

石巻市雄勝小学校の
こどもたちがたちあげた
仮想の会社『こども芸術カンパニー』。

雄勝の新しい名産品を開発し、
雄勝の魅力を世界に伝えるため、
雄勝石の粉を粘土と
釉薬に混ぜたホタテ型のお皿
『ほってぇ皿』が生まれました」
(2018 こども芸術の村5周年記念展 パンフレットより)

 雄勝に住むおじいさんやおばあさん、子どもたち、いろんな人がかかわって1つ1つ手作りでお皿に仕上げる、そのプロセスにこの「ほってぇ皿」の価値があると私は感じています。
 
 焼き物ですから、すぐに完成するというするものではありません。粘土で成形して素焼きをして、釉薬をかけて、また焼く、そんな行程を辿りますから時間がかかります。成形するときには皿の裏側には作った人の指の後がなんとなく残りますし、型があるとは言っても1つ1つ形も風合いも違います。
 1つとして同じ皿はないというところも、ほってぇ皿の魅力だなあと思っています。


毎年、お皿そのものの改良を重ねながら活動を続けてきたり、
「何のために『ほってぇ皿』をつくるんだろうね?」
という議論をしながら進めることで、活動そのものが目的とならないように進めてきました。

 ここ2年は町外の「道の駅」での販売会を年度の(一応の)最終ゴールにここ2年ほどはやっていましたが
「最後が販売、というゴールだけでいいのかな?」
という議論も私たちの中で出ています。


 学校の「総合的な学習の時間」のスローガンは
「自分を元気に みんなを元気に まちを元気に」

 自分が元気に 自分を元気に
 みんなが元気に みんなを元気に
 まちが元気に まちを元気に

 そういうこと。そのために「ほってぇ皿」の活動はどうあるといいのかな…をちょっと考えてみたいな、と思っています。子どもたちとも。

 震災と度重なる合併と統合で、広い学区になってしまっています。つまり「地域」は広い。
お年寄りも多く、学校に来て子どもたちと一緒にお皿作りに参加できる方々は限られている…。


 どちらかというと、外に向けて発信をしてきた「ほってぇ皿」だけど、一方でさらにこれから目を向けなくてはいけないのは、まだ子どもたちが充分かかわりきれていない多くのまちの方々なのでは…と感じるようになってきました。そこがなくて外に向かうと、空洞になるな、そんな感じがしています。

 経済活動は「人間の生活を豊かにしていくため」と考えると、「豊か」の中身をそれぞれが考えていく、みんなでも考えていく、その中で「ほってぇ皿」という「もの」はどう役割を果たしたらいいか、果たせるかってことなんだな、と考えてみたりして。



 ある本に出てきた、経済活動への考え方。

「『都内を中心に物質的な生産を行う』という考え方から『地方で文化的な創造を行う』という考え方に切り替えることもできるのではないでしょうか。」

 最近の職場のみんなとの話し合いと、この本の一言から、考えてみたこと。