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本川良です。生活綴方教育に刺激を受け、その後『学び合い』の考え方に出会いました。 「「教室・学校と地域コミュニティ」について考える日々です。「お互いが尊重し合う関係の中でこそ,人はそれぞれの強みを発揮できる。」と考え、まずは足下から緩やかにチャレンジします。ホワイトボード・ミーティング®認定講師、日本イエナプラン教育専門教員資格認定。現在は福島県磐梯町教育委員会教育再デザインセンターに所属しています。

「震災の経験を忘れない」



 「石巻市総合計画策定のための市民ワークショップ」に参加。
これの参加者を募集していることを、運良く締切前日に知り、応募してみたら、運良く選出してもらえたという流れ。まさに「運良く」。

 そして、この日は「阪神淡路大震災」の日であることも、今考えると、意味深い、とも思えます。

 早めに会場に着くともうすでに、高校生、大学生が「未来ワークショップ」を行っていました。市民ワークショップの前にこれがあることを知らなかったので、びっくりしたのと同時に嬉しくなりました。
(そうだよね、これからの方々にとって未来のことはより密接に自分に関わることだから。この年代の方々の思いや意見をより反映させ、今の大人のそれと重ね合わせ、より『豊か』(意味合いはいろいろ)になるようにしないとね)

と感じたのです。

 参加者が集まってくると、知っている方が何人も。びっくり。
今まで、いろいろな場で学ばせていただいたりお力をお借りした方々、一緒に別な活動の実行委員をやっている方々などです。なんとワークショップのメインファシリテーターまで存じ上げている方でした。

 ワールドカフェ方式でワークショップを行いながら、自己紹介もその都度簡単に行います。実に多様な方々が集まっていました。観光業界、産業、まちづくり、NPO団体、子ども支援、赤ちゃんをお連れの方、行政、教育…。もっともっと多様だったはずです。そのメンバーが何回かグループを変えながらテーマについて意見交換をし、テーブルの模造紙に書き出していきます。
「ああ、やっぱり、年代や業種、立場などが違っても、本当に大事にしたいことってそんなに大きな違いはないんだよね」
と感じる貴重な時間でした。


 感じていること、考えていること、困っていること、願い…。聴き合いながら模造紙に書いていく時間は、
(ああー、時間が足りないー)
と感じてしまうほど、あっという間に過ぎていきます。

 私が、特に心に残った言葉は、「10年後も石巻に残したいこと、ものは?」という問いでの次の言葉。

「震災の経験だなあ…」
と。
「え?というと?」
と聴きます、とうぜん笑。

「うん…もちろん、震災の経験は今も多くの人の中に今でも残っているんだけどね。でも、あの時に感じた『命が大事』『生まれてくる命を愛おしく大切にしたい』ってところ、なんか薄れていったらいやだな、と思って。」
 
 お話くださった方は、子育て、特に赤ちゃんに関わるサポートをしている方だから、きっとその裏にはいろんな思いやエピソードがあるはずでした。時間が足りなくてそこまでお聴きすることはできませんでしたが。

 震災当時は、石巻地区の学校教職員は市民の方々と同様
「生きて学校に来られて、仲間と一緒に当たり前のように学び合う」価値を痛いほど感じました。
 そこが原点、だと私は思っています。

 子どもたちが無事か、どの学校のどの職員室でも必死で確認しました。震災後初めての登校日はお互いの無事を喜び合ったはずです。

 そして、多くの子どもたちの犠牲もあったことも忘れてはならないことです。


 だから、何よりそこを大切にしたい。
「命を大切にする」は「その子自身を大切にすること、尊重すること」、そのシンプルな形が「話を聴くこと」「その子のメッセージを受け取ろうとすること」なんだな、と思っています。

 
 当たり前のことです。

 だから、「当たり前」のことを「当たり前」に大事にできるようになりたい、何かの事情でそれができなくなっているのなら、もう一度そこに立ち返れるように対話を重ねたい、そんな風に考えてやろうとしています。

 
 これから間違いなく起こる(今も起こっている)、人口減少と高齢化社会、その他の多くの課題。それに向かっての準備は、石巻地区は「震災の経験を忘れない」ことだと感じました。

「あのとき、私たちは何を思い、どうしたのか」その共通体験があることは、今になれば、きっと「強み」。

 あれも大変、これも困った…。たしかにそうなんです。
でも、ワークショップである方も行っていましたが
「震災の時は、確かに大変だった。困ったことだらけだった。悲しいこともたくさんあった。でも、みんなで何とかしよう、としてお互いに一緒にやったんだよね。それはそれで今も思い出にある。」
と。

 

 ソフトランディング。


 「石巻市総合計画策定のための市民ワークショップ」これから、何回か続きます。高校生、大学生の「未来ワークショップ」も。
 ここに出された、模造紙の上に書き出されたたくさんの「言葉」。言葉は思いや願いであり、その背後にはエピソードがたくさんあるはず。

 だから、各グループが色とりどりのペンで書いて作成した模造紙を、活かして、具体の動きにしていくプロセスを、ここにご参加の方々と創っていけたら、と強く思います。

 絶対に一人では無理なことばかり。でも、みんなが「やろう」と思えば、できること。

「ちがいをプラスパワーに!そこにファシリテーションがあるとき、ちがいはプラスに転じます。ファシリテーションがないときは、ちがいは対立を強化します。」
「唯一無二」

 この2つの言葉は、それぞれ、私が尊敬するお二方の言葉。共通するところは同じ。期せずして、この日にまた、出会うことができました。なんで、こうタイミング良くつながるのか、自分でも不思議です。

 1月17日、ここからまた始めよう。

人任せにぜず、自分ができることをできるだけ。

そもそも、を忘れずに。

 

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