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本川良です。生活綴方教育に刺激を受け、その後『学び合い』の考え方に出会いました。 「「教室・学校と地域コミュニティ」について考える日々です。「お互いが尊重し合う関係の中でこそ,人はそれぞれの強みを発揮できる。」と考え、まずは足下から緩やかにチャレンジします。ホワイトボード・ミーティング®認定講師、日本イエナプラン教育専門教員資格認定。現在は福島県磐梯町教育委員会教育再デザインセンターに所属しています。

■脱いだり、着たり

■脱いだり、着たり

 
 先日、ある方々と一緒におしゃべりしていて出た話題。
 
 「私が子どもの頃はさ、先生たちが夜うちに来て、親父たちと一緒に酒飲んでたりしていたもんだったなー」
 「で、地区に教員住宅があったからさー、休みの日に遊びに行ったりしたよなー」
 「先生たちと学校も今よりかなり近かったなー」


 
 そんな話になりました。私が新任から10年ぐらいは、そんな時代でした。私は割と地方の学校勤務が長かったので、そういう時代は他の先生方よりは長く経験してきたのではないかと思います。


 夜、教員住宅にいると電話がなって
「しぇんしぇ、いだったか?(せんせ、いたか?)○○しぇんしぇもいだら、一緒におらいさ、ございん。(○○先生もいたら、一緒にうちにおいで)」
なんてお誘いの連絡をいただき、同じ教員住宅の仲間と一緒にご飯をごちそうになったことも何度も…。(なつかしい…若い頃の話。)


 そこで話すことは、学校のことはほとんどなくて、ほぼ面白い雑談。
「先生」というロールじゃなくて、人と人がわいわいしゃべる、そんな時間でした。

 若かった私たちは
「まっだくや、あんだだちはー笑」
なんて、失敗も笑いながら怒られたりもして。


 なかなか、そういうのは今はないでしょうね。そもそも、学区に教員住宅が今はあまりない。

 

 教員というロールを脱いで、一人の個人として学校の仕事で関わる人(子どもだったり保護者だったり地域でお世話になっている方だったり)と接することができたのは、私にとっては宝物の経験でした。完全にはそのロールは脱げませんが、そのロールを脱いだり着たりしながら、接するのがとても楽しかった。

 だめな自分も知ってもらうことで、自分もとても楽になったし、そして直接接する子どもたちの周辺情報や地域の話題もたくさんいただくことができましたし。

 学校で見ているだけでは気が付かない子どもたちのよさもたくさん知ることができました。また、気になる言動があったとしても
(ああ、もしかしたら、あんなことがあったからなのかな…?)
なんて一旦想像を働かせることもできます。なければ尋ねればよいことです。
 そんなこともすぐできる関係性を、こんな時間は作ってくれたんだな、と思います。

 


 一緒に話したり、食べたり、飲んだり、遊んだり、作業したり。

 何でもいいから「一緒に~する」「してきた」経験をつないでつないで、関係性ってゆっくりつくられるものだな、と思います。ある面手間はかかるし、なかなか難しいこともあります。しかしその手間だって楽しいことが多い。

 心地よいやりとりをその時その時でつなぐ「あそび」を誰かと一緒にやっていきたい。


 ロールに縛られすぎることなく、脱いだり着たり。

 


「エンパワメントは、結果というよりもプロセス」という、過去に自分が記したある本からのメモに気が付いて、そんなことを考えました。

 

 

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