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本川良です。生活綴方教育に刺激を受け、その後『学び合い』の考え方に出会いました。 「「教室・学校と地域コミュニティ」について考える日々です。「お互いが尊重し合う関係の中でこそ,人はそれぞれの強みを発揮できる。」と考え、まずは足下から緩やかにチャレンジします。ホワイトボード・ミーティング®認定講師、日本イエナプラン教育専門教員資格認定。現在は福島県磐梯町教育委員会教育再デザインセンターに所属しています。

■こんな徒競走でいいんじゃない?と私は思っています

■こんな徒競走でいいんじゃない?と私は思っています

 

 運動会の練習がぼちぼち始まっています。

 徒競走の練習は、やっぱり「走ることがって楽しい」「仲間と競い合うことも楽しい」につながらないとなーって思っています。

 今までは、徒競走っていうと俄然張り切る子がいる一方で、
「やだなー…」
って顔をしてしまう子もいます。
「そっかー」
って聞くと
「だって、遅いんだもん。」
「だってどうせビリになるもん」
って。

 そうだよね、そりゃあ楽しめないよなーって思っています。

 勤務校みたいに極小規模校なら、「学年(部)ごと」「同一距離・同一スタートライン」で走るとなると、もう実は走る前から順位は予想出来てしまいます。当の子どもたちなら余計はっきりと。だから
「やだなー」
になるよね、そりゃあ、と思います。


 でもねー、鬼ごっこやその他の遊びの様子を見ていると、走ること自体は楽しんでいるんですよね、どの子も。にこにこ、はあはあ言いながら笑っているし。

 「徒競走」ってなると、一定数の子
「やだなー」
ってなるのは、やっぱりなんとかしたいな、と思うのです。


 今の練習はこんな感じで。
 もともと、子どもたち同士で「どんな運動会にしたい?なるといい?ミーティング」を行い、なんとなく、自分たちが思う理想の運動会像は,「言葉としては」共有したわけで。だから、その言葉のイメージと実際の練習だったり実際の運動会を一致させていくプロセスをみんなでつくればいいよね?と思います。

「走ることや競うことを誰もが楽しめるといいなーって思うのね。」
「だって、スポーツが好き!ってならないと残念じゃない?」
「だからさ、誰と走っても誰が1位になるか分からない方が面白くない?」
「だって、そもそも、一人一人、体の大きさも筋肉の力も違っているの当たり前でしょ?だったらさー、ねえ?(^^)」
「だからさー、こんなふうに練習してみない?」
て私からの提案。

○1~6年まで混合のくじ引きでくみ分け
○本気で走って、誰が1位になるか分からないようにスタートの位置を相談して決める

 スタートの位置を変えるって言うのは、子どもの意識の中にも(多分一緒にやっている先生方にもかも?)あんまりなかったみたい。でも1~6年混合で走るとなると、そりゃあ、スタートラインを変えないとね、ってことになります。

 「一人一人がそもそも違う、そのお互いの違いを生かせば、それぞれが自分のパフォーマンスを存分に発揮できる、それが楽しいってことなんだ」
 そんなことを体験的に感じてほしいなあ、というのが私の思い。

 子どもたちも「勝ち負け関係なく」ってよく言います。それは勝った側の「思いやり?」「やさしさ?」でも負けた方の「いいわけ?」「負け惜しみ?」でもなく、本当の意味での「勝ち負け関係なく」ってどういうこと?を感じる機会になるといいな、とも思っていて。

 ゴール前、1年生を猛追して必死に走る6年生もいたり、前にスタートラインをとる5年生を2年生が追う、でもいいじゃない。

 子どもたちの運動会スローガンは「元気いっぱい、笑顔いっぱい、全力で楽しむ運動会!」。
「どうしたらそうなる?」の体験を、練習プロセスで味わっていく、そんなところに運動会の学びを見出したいなーって思う。そしてそれって、運動会が終わってからも、学習でもその他行事にもみんなでつなげていけるんだよね、つなげていくんだよねってことだなと思っています。

 運動会本番は、彼らがどんなスタート位置や組み分けを選択するかはまだ分かりません。もしかしたら、いろんなことを分かり納得した上で、同一スタートラインを選択するかもしれません、それならそれでもOK。

 「一人一人がそもそも違う、そのお互いの違いを生かせば、それぞれが自分のパフォーマンスを存分に発揮できる、それが楽しいってことなんだ」
を運動会という場で表現出来ればそれでいいな、と思います。